エンジニアから起業家向けまで、2017年のICO講演スライド6本建て

エンジニアから起業家向けまで、2017年のICO講演スライド6本建て

ブロックチェーンとICOの怒涛のような波にもまれて過ぎた2017年、自身のライフログの目的も兼ねてその一年間を振り返ります。

ブロックチェーン技術と友達になる 2017年 Q1

思い返すと、2017年のQ1はひたすら初期投資家向けの Smart Contract と STAR Bounty を作っていました。

2016年末に Starbase プロジェクトに参加する前は、10年ほど Web アプリケーションエンジニアとしてのキャリアを積んできたため、ブロックチェーンプログラミングのそのコンセプト違いや Solidity (Ethereum 開発言語) の独特な記法に慣れるまでは相当苦労していたような記憶が有ります。

一方、その “インスタンス化したオブジェクトがブロックチェーンアプリケーション上で永続的に保持される” とも言える、画期的な仕組みにエンジニアとしてのマインドが非常に刺激されました。
従来の言語であれば、永続化データは別途データベースに保存しなければならないのですが、スマートコントラクト上の変数に入れたデータはそのままの形で永続化されるのです。



The World Computer と言われる、世界規模の止まらない分散システムである Ethereum だからこそ出来る芸当でしょう。
自分がデプロイしたプログラムがブロックチェーン上で動き続け、公共インフラのように使われ続けるというのも面白いところかと思います。

STAR Bounty

STAR Bounty という、マーケティングツールも Q1 の頃に作っていました。

STAR Bounty は Starbase プロジェクトに貢献してくれた人たちが、その貢献の内容について自己申請し、そのお礼として STAR トークンお渡しするツールなのですが、これは大変画期的なツールです。

スタートアップにはお金も人も有りません。
そんな中、世界中のサポーターに対して、今あるキャッシュではなく将来価値が期待できるトークンを渡す。かつてこのようなマーケティング手法が存在したでしょうか?

資本力のある一部の投資家のみが企業に投資でき、多く資本を入れた人が多くのリターンを得ることができるという、資本主義の考え方とはまた異なる概念が生まれてきているように思います。
つまり、プロジェクトへの金銭的な投資だけではなく、自身の時間・知識・ネットワークを使ってプロジェクトへ貢献することでも投資ができるということです。

かく言う僕自身も Starbase プロジェクトには1円も金銭的な投資はしておりませんが、人生の“時間”とこれまでの人生で培った“技術力”を投資し、その対価としてトークンを得ています。
Starbase の創業者の Tomoaki からは「Yu さんは Envestor (Engineer + Investor の造語) ですね」などと言われていました。 (笑

ICO ブームの始まりで希望が見えた 2017年 Q2

Q2 はまさに ICO ブームに火が着いた時期でした。
ことの経緯については下記のスライドにも書いております。

2016年末の段階では、ICOの革新的なコンセプトには共感していたものの、時代に先駆けすぎているかもかもしれないと考えていた節はあるので、このタイミングでトレンドが来たのは晴天の霹靂でした。
しかし、投資家にとっても起業家にとっても圧倒的に便利なスキームで有ることは変わりないので、ブレイクするのも時間の問題だったのかもしれません。

このおかげで、当初目標としていた初期投資家向けのセール、計1億円相当の ETH,BTC が一気に集まったのは事実です。
この頃私は、 STAR Bounty のメンテとクラウドセール用のスマートコントラクト開発、及び販売システムの開発をメインで行っているほか、初期投資家とのコミュニケーションなどをメールや Slack などで行っていました。

世界的な ICO 規制強化で暗雲が立ち込めた 2017年 Q3

クラウドセール(世界の個人投資家に向けた公開販売)の前日に書いたブログ記事がこちらです。

ICO 前夜。 CTO が語る Starbase 10ヶ月の軌跡

ポジティブなトーンで書いてますが、実はこの時点で既にゴールの 10億円 を遥かに上回る投資需要があり、主に中国のプリセールパートナー経由でほぼほぼ売り切っていた状態でした。
たとえば、今は亡き ICOAGE 経由では、3時間で ICOAGE に割り当てていた予算枠の上限の4億円の調達が完了しました。

しかし、まさかのクラウドセールの前日に中国における ICO 規制が発生し、中国のプリセールパートナーから Starbase に送金されること無く、投資家に返金されることになりました。
プロダクトローンチ後のビジネス戦略も、中国を最重要マーケットとして捉えていたこともあり、ダブルの意味で痛いパンチでした。

その後、スイスのプリセールパートナーである Bitcoin Suisse 経由で、再度集め直すことになりました。この影響で、9月頭で終わるはずだったクラウドセールが、結局11月末まで続くことになります。

講演活動の開始

話が変わって、 Q3 辺りから各所で講演活動を始めました。
ICO プロジェクトに関わることで得られた知見をシェアして、世界の事象や技術が如何に革新的かを知ってほしいという思いが有りました。

1. 業界関係者向け (ビットコインとか勉強会 #9)

契約内容をコードで記述し、自動執行することができる画期的な技術、「Smart Contract」。先日、30秒で$35M(約39億円)をEther で調達した Basic Attention Token プロジェクトによって実際に利用された Smart Contract のソースコードを追いながら、Ethereum と Smart Contract 及び ICOについて技術的な側面から解説しています。

2. エンジニア向け (July Tech Festa 2017)

2017年8月27日に、産業技術大学院大学で開催された July Tech Festa にて、ブロックチェーンと ICO について話してきました。参加者は80人くらいでしたでしょうか。ほぼエンジニアです。

本資料では、ブロックチェーンやビットコインの概論的な部分にも触れています。サーバ・クライアント型と違った、マスターサーバーのない合議制のシステムは超面白いなぁと資料を作りながら再認識しました。数学と技術がデータの “価値” を保証するだなんてだれが予想したでしょうか。

3. FP・個人投資家向け

現役 FP 向けのクローズドなセミナーも行いました。
私の投資スタイルや、レベル別の仮想通貨投資手法、仮想通貨の本質的な価値等について書いています。

4. 起業家向け

スタートアップの支援をされている ProtoStar さんにて、2017年9月9日、”ICO の資本政策” について講演して参りました。
参加者はほぼ役員クラスで ICO への関心が高い方が多く、また大御所の VC の方もいらっしゃっており、やや玄人向けの質問が飛び交っておりましたが、スライド自体はもう少し基礎知識に焦点を当てております。

講演資料を作りながら、また会場の皆様と会話をしながら改めて感じたのは、 “ICO は大量の資金が集まる” という側面ばかりが注目を集めており、 “全世界にサポーターが出来る” というクラウドファンディング的な特徴が霞んでしまっていることです。

ハイプ・サイクルの理にしたがって、いつかは市場が冷え込むのは必至でしょう。その時に “たくさんの資金を調達したいから ICO” なのか、 “起業当初から多くの人を巻き込みたいから ICO” なのかが成功の分かれ目になっていくように思います。

5. 経営者・ビジネスマン向け

横浜の経営者向けにも別途講演を行いました。
ICO のクラウドファンディング的な側面に着目しています。

6. CTO 向け

こちらでレポートしている通りです。講演スライドについてもリンク先記事でご覧になれます。

講演レポート: IVS CTO Night and Day 2017 Winter

色々な方と意見交換できた他、資料を作成する過程で自信が仮想通貨や ICO についてより詳しくなることができ、非常に良い経験でした。

そして来る2017年Q4。険しい道の果てにたどり着いた “ICO”

そしてついに11月末に Starbase の ICO をクローズすることができました。調達額は当時の Ether の時価で 10億円 相当でした。
途中、スイスのレギュレーションの強化のため、 KYC/AML が必要になったことやその他要件の変化があり、追加の開発が必要になるなど、色々大変な時期もありました。

それでも時間は止まること無く過ぎ、無事クラウドセールが終了し、トークンも取引所に上場するに至りました。

2018年はブロックチェーンイノベーションの開花の年となるか?

しかし、有り難いことに(?)、一仕事を終えた後もやるべきこと・やりたいことが山ほど有ります。
Starbase のプロダクト開発もバリバリ進んでおりますし、 ICO 経験を活かした他社のアドバイザリーやシンガポール発の創業計画など、休む日まもなく毎日突き進んでおります。

おそらく、世間の人々が思っているほど今の業界は成熟しておりません。
本当に様々な夢やアイディアが語られていますが、実際に動いて価値をもたらすものは少なく、ブロックチェーン技術自体も含めてまだまだ未熟です。

逆に言えば既得権益も少なく、アントレプレナーシップを持つ者から見れば、垂涎の市場と技術であるといえます。

2018年から、徐々に“使える”技術やプロダクトが出てくることでしょう。その結果、社会にどのような影響が起こるのか、とても楽しみです。 😀


Yu Yamanaka

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