ICO 前夜。 CTO が語る Starbase 10ヶ月の軌跡

ICO 前夜。 CTO が語る Starbase 10ヶ月の軌跡

ICO 支援プラットフォーム Starbase の開発責任者の山中です。
Starbase 自身の Crowdsale がいよいよ明後日に迫りました。
(Starbase が発行する STAR トークン(暗号通貨)の公開販売)

2016年10月にこのプロジェクトに Join した時は、 Bitcoin 以外の通貨は今と比べ物にならないほど市場規模が小さく、先行きが不透明な時代でした。

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だれも ICO を知らず。
ただ、海外でいくつかのプロジェクトがポツポツと起こり、数億円集めている状況でした。

そんな黎明期から、バブル真っ盛りの今日までの軌跡を綴りたいと思います。

ブロックチェーンに出会った日

始まりは、一つの Facebook 投稿でした。
ユーザベースの伝説的な CTO 竹内さんによるものです。

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“ブロックチェーン” という用語自体を少し聞いたことがある位で、 Bitcoin がどう動いているかもこの時は知りませんでした。
求められているスキルを保有しているし、どれ見聞を広めようかという位の心持ちだったように思います。

その後、竹内さんにご紹介頂き、 10/22 に Starbase 創業者の佐藤とスタバで合うことに。
やたら前髪が長い、服が全身黒い、人の顔を見ずにMacの画面見ながらしゃべる、という怪しさ爆発の第一印象でした。

事前にブロックチェーン本を買って基礎知識を学んでおりましたが、 Starbase のビジネスモデルはそれを更に発展させた内容であり、かつて聞いたこともない概念のオンパレードで、半分くらいしか理解出来なかった覚えが有ります。

残りの半分は、次の日に佐藤と Skype で再度会話することにより理解することが出来、そこで初めて衝撃を受けました。

“ヤバイ。このビジネスは従業員と企業の関係を変える”

次の日、僕は当時勤務していた会社の上司に辞意を伝えていました。
この凄まじいビジョンの実現にフルコミットするために。

ICO によって変わる世界

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(image from http://startupmanagement.org/2016/08/15/the-relationship-between-cryptocurrency-tokens-value-and-work/)

ICO は単なる資金調達の手段だと考える人もいるようですが、それは一側面でしか有りません。

Starbase のビジョン “Make everyone easy to challenge” の everyone には起業家だけでなく従業員も含まれています。

スタートアップが優秀な人材を雇用するのは困難です。
初期のスタートアップには創業者とアイディア、わずかな資本金しか有りません。

低い報酬を補うものとして、ストックオプションが提供されることも有りますし、されないことも多いようです。
された場合でも下記のようなデメリットが存在します。

  • 日本の一般的なベンチャー SO の条件は、企業側に大変有利な条件になっている
    (上場するまで行使出来ない、辞めると権利を失う、買収されたときの扱いが不明瞭、etc..)
  • SO の条件の変更を強要されることがある
  • 上場して、かつ権利を行使できるようになるまでかなりの時間を要する(5~7年など)
  • 上場する可能性がそもそもかなり低い
  • 貢献度に応じて追加でどんどん割り当てていけるような設計になっていない

僕はサラリーマン時代のスタートアップにて SO の割当を受けておりましたが、辞める時にすべて没収となりました。
僕自身は納得したうえで退職したので良いのですが、5年間多大な貢献をしたとしても、上場前に退職したらゼロというのは納得しない人も多かったようです。
また、自分の人生の貴重な7年間をこの会社に捧げるのか、それだけのリターンを得られるのかという葛藤も有りました。

一方、 ICO の世界ではトークンが SO 的な使われ方をしており、下記の特徴を持っています。

  • 未上場・上場後にかかわらず、貢献度に応じてトークンがインセンティブとして頻繁に(毎月など)払いだされる
  • トークンは1,2年以内に上場することが多い
  • トークンはかなり高い確率で上場する (お金さえ払えば取り扱ってくれる私設の取引所がある)
  • 紙の契約書不要。なぜならスマートコントラクトがあるから
  • スマートコントラクト上の契約は不変
  • 国籍関係なく、遠隔地の従業員や支援者に付与可能

もちろん上場時の市場総額は、 IPO に比べれば小さなものですが、すでに上場しているという安心感は半端ないでしょう。
あとは自身の頑張りにより、トークンの価値を上昇させていけば良いのです。

こういった働き方が一般になると、将来の大きなベネフィットのために自分の時間を投資しよう、チャレンジしようという人が増えてくると考えられます。
そうなるとイノベーティブなスタートアップに優秀な人が集まり、人類の進化が加速することでしょう。それは私個人のミッションでもありました。

実際、ドイツ在住の Luis と Gus がフルタイムエンジニアとしてそれぞれ 3月 と 6月 に入ってくれました。

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2人共非常に優秀で、スタートアップマインドを持ち合わせたエンジニアです。つまり自律的に今何が必要かを考え、高いクオリティで成し遂げます。
私を含むエンジニア3人はリモートワークで、ほぼテキストベースのコミュニケーションでタイムゾーンの違いもありますが、彼らのコミュニケーション力の高さもあり、驚くほどスムーズに仕事が進められています。

苦戦する資金調達

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さて、そのようなビジョンを掲げる企業が、伝統的な経営をするのはおかしいだろうといことで、従業員への支払いは Bitcoin または Ether と STAR トークンで行われることになりました。
法人がシンガポールに有りましたし、世界の様々な地域に居住するメンバーが共同で作業しておりましたので、むしろそのほうが好都合だったように思います。

加えて、株式での資金調達も一切せずに、すべて STAR トークンで調達を行いました。
つまりエンジェル投資家に STAR を買ってもらいました。

言うは易しですが、あの当時に STAR を買ってもらうのは至難の業です。
最初に奇跡的に数千万円を投資していただいたあとは、半年ほど新たな調達が出来ない期間が続きました。

佐藤と一緒にエンジェル投資家や VC を回るも、そもそもビジネスモデルを理解してもらえなかったり、 VC は暗号通貨を買えなかったり、そんなビジネスが上手く行くはずがないと言われたり。
先行き不透明な期間が続くに連れて、自身の直感を疑ったりもしました。 Bitcoin が2歩先の技術であれば、その更に先を行くトークンは3,4歩先で、ビジネスを始めるタイミングとして早すぎるのではないかと。

スイスの弁護士事務所への支払いが高くつき、資金が枯渇しつつあった2017年3月。ついに風が吹きました。

今日の ICO のインフラとなっている Ethereum の爆発的な価格上昇です。
米国での Bitcoin ETF の否決がトリガーであったように思います。

その後、世界各国での地道なプロモーション活動(ピッチ等)や、中国のインフルエンサーの協力もあって当初予定していた初期目標額を STAR で調達することが出来ました。

キャッシュレスで人海戦術のプロモーション

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佐藤が資金調達に奔走する傍ら、僕は何をしていたかというと Starbase のスマートコントラクトと STAR Bounty の開発を一人で進めていました。
STAR Bounty は Starbase のプロモーションを支援してくれるた人に報酬として STAR を払い出すシステムです。

この Bounty Campaign という施策は、暗号通貨業界ではそれなりに一般的で、お金のないスタートアップがお金を消費せずにプロジェクトのプロモーションを行うことが出来る素晴らしい仕組みです。
株に例えると、自社の株式を不特定多数の人にばらまいて宣伝を手伝ってもらうという、恐るべき手法です。

ICO というクラウドファンディングの特性上、多くの人にプロジェクトを認知してもらうということが不可欠であり、特に傑出した ICO プラットフォームが無い今はこれの効果が大きいように思います。
SNS プロモーションだけでなく、何か特殊なコントリビューションをしてくれたパートナーにトークンを払い出すツールとしても利用可能です。例えばロゴのデザインの報酬をトークンで払うなど。

STAR Bounty は将来ホワイトラベルで、 Starbase のクライアントにも提供する予定です。

そして現在の ICO バブル

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現在の ICO のヒートアップ具合が一過性のバブルなのか、まだ始まりに過ぎないのかは正直分かりません。
ただし、グローバルでイノベーティブなスタートアップが資金調達をするには最高の機会であることは間違い有りません。

普通にちゃんとしたチームでセオリー通り ICO を行えば、プロダクトがなかろうが数億円集めるのは難しくないでしょう。
ただし、 ICO で資金調達したプロジェクトがちゃんと収益を上げられているかというとそれはまた別の問題のようです。

本記事では具体的な部分には触れませんが、 IPO と比較して ICO のほうが技術的な利便性は圧倒的に高いですし、ブロックチェーンの特性上、国家による包括的な規制が難しいためこの流れ自体は止まらないと考えています。
しかしながら、投資に値しないような金融商品を外面だけ綺麗にして売っていた市場がリーマン・ショックで破綻したように、本質的に価値のないものは淘汰されていくことでしょう。

しかし、玉石混合のトークンが増え続けること自体は悲観的に捉えるべきではありません。
Google が無数の Web サイトの中からユーザにとってより価値の有るものを探しだすように、トークンに対してもそのようなソリューションが提供されることでしょう。

まとめ

企業にとっての IPO がゴールではないように、 ICO もまた始まりに過ぎません。
集めた資金を使ってイノベーティブなビジネスを創り、三方良し(企業・投資家・社会)の未来を創らなくてはなりません。

僕はこの新しい技術と経済の潮流が人類の進化を加速させると信じています。

Yu Yamanaka

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