ブロックチェーン業界に入って半年。世界のリアル事情と3つの活用法 (1/2)

ブロックチェーン業界に入って半年。世界のリアル事情と3つの活用法 (1/2)

“グローバルな資金調達と人材採用を安価かつ迅速に行えるプラットフォーム”Starbase」 の開発責任者の Yu です。

昨今何かと話題になっていた DeNA 傘下の MERY でインフラアーキテクトやったり、ディープラーニングを使った高精度手書き文字認識 Tegaki などをプロダクトとして持つ Cogent Labs のエンジニアリングマネージャーをやっていました。その後縁あって Starbase 代表の Tomoaki に会い、そのビジョンに共感したため脱サラし、2016年末ごろから今に至るまで同社のコアメンバーとして働いています。

ビットコインを支えるテクノロジー。ブロックチェーン

ご存知ない方もいらっしゃいますが、ビットコインがブロックチェーンによって作られたというより、ビットコインに使われている技術の総称がブロックチェーンと呼ばれ、注目されるようになったというのがより正確な順序です。

ビットコイン自体 2009 年に最初のコインが発掘されたばかりですので、歴史的に非常に新しいテクノロジーだと言えますが、その内部の個々のテクノロジーは良い意味で枯れたものばかりですので(P2P、ハッシュ関数等)、とても安定しています。実際7年以上経つ今でビットコインのインフラが破綻していないという事実がそれを裏付けていることでしょう。

僕個人としては、同じく旬のディープラーニング(AI)のほうが技術的には断然難しい(特に精度向上のためのチューニングが)と思うのですが、一般の方から見ると “ブロックチェーンは難しい”, “ビットコインってゲームの仮想通貨や電子マネーと何が違うの?” という感じで AI に比べて圧倒的にイメージしづらいようです。広く普及するに至った事例がビットコインくらいしかないからでしょう。

実際、日本においてブロックチェーンを使ったビジネスを行っている企業何社かと情報交換を行う場が先日あったのですが、実運用されているものはなく、ほとんどが実証実験の段階でした。しかも、その実証実験の結果としてもブロックチェーンの特徴を確認できたというだけで、ブロックチェーンだからこそ可能だった・劇的な効果があったというものでは無かったようです。非常に応用が難しい技術であることが伺えます。

一方、業界のトップ企業が次々とこの分野に参戦して来ており、また関連企業への投資も増えており、市場は確実に拡大しています。

三菱東京UFJ銀行、米Ripple社主催のグローバル銀行間コンソーシアムへ参加 (2017/3/31)
http://www.nikkei.com/article/DGXLRSP441264_R30C17A3000000/

ビックカメラ ビットコイン導入を発表 (リクルート系列の店舗も) (2017/4/5)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170405/k10010937561000.html

運営ファンドを通じたWirexワイレックス Limitedへの出資に関するお知らせ (2017/3/7)
http://www.sbigroup.co.jp/news/2017/0307_10602.html

そのようなホットな市場ですが、実際は技術もそれを活用したビジネスも発展途上です。
今回はその経済圏の中にいる一個人として活用事例と代表的な課題を書いていきたいと思います。

活用方法1. 国際通貨としての利用が最適

ブロックチェーンがそもそもビットコインのための技術であったように、やはり通貨としての利用が最も適しています。

日本で生活している分にはあまり不便を感じませんが、例えばEU圏に行った時に色々な国でユーロが使えるのは大変便利ですよね。
それが世界共通で使えるとしたらどんなに便利なことでしょう。

世界の裏側にいる人に寄付するのも、自国のコンビニで支払うのも、旅行に行った時のホテルで支払うのも同じ通貨で払えるということです。スマホひとつあればよい。

国際ブランドのクレジットカードなんて便利なものもありますが、店舗側にとって手数料がそこそこ高いですし、契約が面倒だったり、スキミングが心配だったり、そもそも送金には使えません。

実は僕は Starbase 社からの毎月の報酬(いわゆる給料)を日本円ではなくビットコインでもらっています。

Starbase 社はシンガポールに設立された企業なので、普通に銀行で国際送金すると結構な手数料が取られ、時間もかかりますがビットコインだったら1分で送金でき、手数料も数円〜数十円程度で済みます。ドイツにいる他のチームメンバーや、スイスの弁護士法人、UKのロゴデザイナー、中国のマーケター等々へアウトソースする際も同じ方法で送金しており、まさに国際通貨として活用しています。

実生活で使うために国内のオンライン取引所(bitFlyer等)で換金する手間があるくらいで、それも5分でできるので正直それほど不便はしていません。

暗号通貨は必ずしも国が発行する通貨(業界用語で fiat currency といいます)を置き換えるものではありません。イギリスでポンドとユーロが使えたり、日本で電子マネーでも支払えるように、ビットコインでも払えますというお店がどんどん増えるととても便利になるでしょう。

通貨として使う際のデメリットと対策

1. 送金・決済の承認まで時間がかかる

ざっくり言うと、送金が承認されるまで最短で10分かかります。業界用語で confirmation と言います。ブロックチェーンの仕様上、送金が取り消されることがあるので(無かったことになる)、この confirmation を待つ必要があります。

給与支払いとか国際送金であれば問題ないですが、お店での利用はちょっと使いづらいですよね。

根本的な解決策については、 Bitcoin Unlimited 等のメジャーバージョンアップ(業界用語では hard-fork)に期待するか、あるいは Bitcoin 以外の、より confirmation 期間の短い通貨(Ethereum等)を使うことで中長期的には解決可能だと考えられます。
ただし、ブロックチェーンの仕組み上、これを短くすると confirmation の信頼性が下がったりするので、技術的に難しい課題で、今も解決策が模索されています。

暫定的な解決策としてはどこかの企業・団体が、送金を保証するという方法があります。

例えば BitGo Instant など。
https://www.bitgo.com/solutions#instant

ただしこの場合は、ショップがこの機能をサポートしなければならず、また送金手数料が増えるというデメリットもあります。

2. 価値の変動が激しい

Volatility が高いとも言います。

現状、1日で20%価値が変わることもあります。
今日の10000円が明日になると8000円になっていたのような (笑

こちらに関しては、その通貨の市場規模が大きくなってくるにつれて落ち着いてくるのではないかと期待しています。

fiat currency の金額をベースとして、その価値に相当する量のビットコインを払うというような取り決めにしておくのが現状は現実的だと思われます。
エコシステムが発展してくれば、例えばシンガポールドルを日本円の口座に送金したいときに、暗号通貨になっているが、入口と出口で自動的に fiat に換金するようなシステムができ、為替リスクを最小限に抑えることもできるようになるでしょう。

3. 取引記録がオープン

これは確かに誰でも送金記録が見れますが、どの個人がどのアドレス(暗号通貨の口座番号のようなもの)を持っているかという情報は公開されておらず、そこで匿名性が担保されているので、そこまで深刻に考えなくとも良いと個人的に考えています。

また、最近では HD wallet なるものが多く出てきており(Copay等)、お金を受け取るアドレスを毎回変えることができます。外からみると別の人に送金しているように見えますが、ウォレットの所有者からは全部自分に送金されているように見えます。

そのほか、 Monero や Zcash など、匿名性を強く意識した通貨が出てきており、そちらを使った場合はほぼ完全に匿名で送金することができます。(だからこそマネーロンダリングにも使われる危険性もあるのですが)

日本円や電子マネー、仮想通貨との違い

電子マネーは日本円を Suica とかにチャージして、お札を渡さなくとも払えるというだけです。
日本円や仮想通貨(ゲーム内通貨、ポイント)との大きな違いは、その価値を保証する主体がいるかどうかということです。

お札(日本銀行券)は日本国が価値を保証していますのでお金として使えますし、特定の企業が発行している仮想通貨もその企業が保証しています。
逆に言うとそれらの主体が保証内容を変えたり、つぶれたりすれば価値がなくなってしまうのです。
インドの首相が一部のお札を無効化したニュースなどが去年ありましたね。

ビットコインの価値は誰も保証していませんが、では何が価値の源泉となっているかというと、そのアルゴリズムとインフラです。
コインの発行上限数とインフレ率が定まっており、その仕様や取引記録などが数学的なアルゴリズムで書き換えられないようになっている。
通貨の発行主体も運営主体もいないので、だれもそのネットワークを止められない。そういった事実が価値の源泉になっています。

僕の好きな星新一の小説にはよくコンピューターが世界を管理している未来が描かれていますが、皆が政府でも金融機関でもなくテクノロジーと数学を信じる世界が来るのかもしれません。

長くなってしまったので、後半は別の記事にします。 😀

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Yu Yamanaka
CTO at Starbase
Co-founder of INGoT LLC

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