ブロックチェーン業界に入って半年。世界のリアル事情と3つの活用法 (2/2)

ブロックチェーン業界に入って半年。世界のリアル事情と3つの活用法 (2/2)

Starbase の Yu です。前回に引き続き、ブロックチェーンが世界でどのように活用されているかを書いて参ります。
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2. 分散型アプリケーションのプラットフォームとして

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ブロックチェーンを使ったシステムの特徴として、 “一度記録されたデータは改ざんされない”“単一故障点が無いため耐障害性が非常に高い” 、というものがあるため、この性質を利用して独自の分散アプリケーション(業界用語で DApps)を構築することができます。

例えば、世界の取引所に上場している暗号通貨の一覧が見れる coinmarketcap.com というWebサイトがありますが、この2番目に時価総額の大きい Ethereum というものが最も代表的な分散型アプリケーションプラットフォームです。

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Ethereum は DApps のための Heroku とも言えるものであり、アプリケーションのソースコードを Ethereum 上にデプロイ(アップロード)すれば、あとはプラットフォームがそのプログラムを自動的に動かしてくれます。

Heroku や AWS と大きく違う特徴のひとつとして、それらはアプリケーションの運営者がサーバ利用代金をプラットフォームの運営者に毎月払いますが、 Ethereum の場合はそのアプリケーションをデプロイする時や使う時に利用代金を支払う必要があります。

Ethereum の場合、その利用代金は Ether という暗号通貨で支払う必要があり、先の coinmarketcap.com における Ethereum の時価総額はこの Ether の時価総額を表しています。 Ethereum 上の分散アプリケーションを使いたい人たちは、 Ether を持っている人たちからそれを購入して支払いに使います。

このような特徴を持つため、 Ether は “通貨型” の Bitcoin と比べて、 “消費型” の暗号通貨と言われることがあります。

消費型の暗号通貨は Ethereum の他にも 分散型記録台帳の Factom における Factoid や、 分散型 e-sports プラットフォームの FirstBlood の FirstBlood Token などが有ります。

3. プロジェクトへの投資手段として

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Bitcoin 等のブロックチェーンの、

  • 世界中の誰でも平等に利用できる
  • 非常に安価な送金手数料
  • 送金記録がオープンで改ざんできない

という特徴を活用して、世界のイノベーティブなプロジェクトに対する投資手段としても活用されています。

一般的に、投資によるリターンはキャピタルゲイン(値上がり益)とインカムゲイン(株式における配当等)が有りますが、暗号通貨にもそのような概念があります。

メジャーな暗号通貨の多くが世界中の私設の取引所で取引できるようになっており、日本にも bitFlyerCoincheck のような取引所が幾つか存在します。これらの価格は株式と似たような市場原理に従って売買されています。(外部サイト: 株式売買の原理と株価の決まり方)

とりわけ、暗号通貨は他の投資商品と比べて下記の特徴を持っています。

国境に関係なく投資できる

通常、国外の投資商品(例えばフィリピンの成長企業の株など)に投資する場合は日本にある証券会社がそれを取り扱ってなければ、日本から投資することができません。しかしながら暗号通貨の場合は、誰でも自由に参加できるブロックチェーン上で発行されますので、その事業体がどの国にあろうが、その事業体が用意する投資用のアドレスに送金すればサクッと投資できてしまうのです。

少額から投資できる

ビットコインは 1BTC (執筆現在12~3万円) からしか買えないと思われている方が時々いらっしゃいますが、そんなことはなく 0.0001 BTC 等の単位で購入可能ですし送金も可能です。株のように1株からしか所有できないということはありません。

未上場の暗号通貨にも少額から投資することができます。業界では上場前に広く資金を募るキャンペーンをクラウドセール(Crowdsale)と呼んでおり、毎週のようにクラウドセールが世界のどこかで開催されています。つい先日も30分で17億円相当の資金を集めたプロジェクトがありました。

投資した額が数年で何倍〜何百倍にも化ける可能性もありますが、中には上場せずにプロジェクトが立ち消えてしまったり(つまり投資金額の全損)、上場したがプロダクトをローンチする前に創業者がプロジェクトを放り出し価格が暴落してしまうしまうものも少なくないため、そのリスクに対して自分で責任が持てる人でなければ手を出さないほうが良いでしょう。

上場のハードルが低く、流動性が高い

株式の場合は一般的に IPO か M&A 等を経なければ売却できませんので、結果が出るまで何年も持ち続ける必要がありますし、 Exit まで至らないことも多くあります。そのため、未公開株への投資はかなりハイリスクハイリターンなものとなっています。一方、暗号通貨の場合はかなり上場が早く、審査も私設の取引所の判断次第なので、プロジェクトの開始から1年以内にそれが行われることが珍しくありません。業界ではこの私設取引所への上場を ICO (Initial Coin Offering) とも呼んでいます。

そのため、そのプロジェクトに先行きが不安になった場合、購入した暗号通貨を早い段階で市場で売却することもできます。

暗号通貨のインカムゲインについて

通貨型(Bitcoin等)と消費型(Ethereum等)の暗号通貨に対して投資した場合はキャピタルゲインを狙うことができますが、投資家に対してインカムゲインによって還元する機能を持った暗号通貨も存在します。これらは通貨として使われることを想定していないため、 トークン(Token) と呼ばれることがあります。

例えば、 実在する金とブロックチェーン上のトークンを1対1で紐付ける Digix というプロジェクト の DGD トークンや、 Singularity(AIが人間を超越したらどうなるというアレ) に関するテレビシリーズを作るプロジェクト SingularDTV の SNGLS もこのタイプのトークンで、そのプロジェクトの “売上” をトークンの所持者に配分する仕様になっています。

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ちなみに Starbase の STAR トークンもこのタイプです。

その他の活用法

今回ご紹介した3つの活用法以外にも、ブロックチェーンの分散型台帳としての仕組みや、分散型アプリケーションの性質を利用して、あんなことやこんなこともできないかと、日々様々なアイディアが世界で議論・実装されていますが、 きちんとしたビジネスとしてワークしているものはまだほとんどない 印象を受けます。大体のビジネスアイディアはブロックチェーン登場以前の技術で実装できますし、そのようなものは敢えてまだ発展途上のブロックチェーンを使うこともないでしょう。

特定の国家・企業に依存しないシステムというのは確かに理想的なシステムのように思えますが、その反面、この資本主義社会においてそれを実現させるのは一筋縄では行かないのかもしれません。

ただ一つ確かなのは、この技術がこれまでにない革新的なものであり、そのシステムは誰にも止められないものであるということです。

この先多くのブロックチェーンビジネスが起こり、消えていくことでしょう。どのようなプロジェクトが時の洗礼を耐えきるのか、個人的に楽しみにしています。 😀


Yu Yamanaka
CTO at Starbase
Co-founder of INGoT LLC

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